特別お題「私がハマったゲームたち」
「帰ったら、何よりもまず続きをしたい」
大人になって長らく忘れていたその感覚は、『Outer Wilds』が思い出させてくれました。
ほんの数カ月前に出会い、これから数十年は共にすると確信した、Outer Wildsのお話です。
(シナリオのネタバレはありません)
目次
『Outer Wilds』
Outer Wilds(アウターワイルズ)は、2019年に発売された宇宙探索アドベンチャーゲームです。
主人公は、宇宙調査隊の新米パイロット。
彼らの星系にかつて存在した、古代種族「Nomai」のルーツや滅亡の謎を解明すべく、惑星探査へと旅立ちます。
ただし、残された時間は22分。
彼らの星系は22分後に消滅してしまいます。
そして始まるのは、新たな22分。
繰り返す22分の中で、タイムループと古代種族の謎に迫る作品です。
「未知」をもとめて
Outer Wildsにバトルやタスクはありません。
レベル、ステータス、アイテムの類もなく、あるのは探査艇と調査用装備のみ。
加えて、決められたルートも存在しません。
探査艇へ乗り込んで、行き先を決めるのは自分自身。
心の赴くままに宇宙探査を行います。
そんな世界で、唯一得られるのは「情報」。
太陽、惑星、Nomai、タイムループ…あらゆる場所に散りばめられた、この星系に関する情報を探して旅を続けます。
初めは断片的だった情報も、集まってくるにつれて徐々に繋がり始めます。
「あれ、これってもしかして…」と推理を重ねるうち、することや行き先が定まるように。
思いついたことを試して、「やっぱり!」となるか「ん?違うっぽい…」となるか、試行錯誤するのはこのゲームの醍醐味です。
好奇心に素直になる
物理的な報酬がないOuter Wildsにおいて、原動力となるのは「好奇心」。
「知りたい」「見たい」というシンプルな欲求を、どこまでも純粋に追求していきます。
その感覚は、小学生のころ味わったものに似ています。
ちょっと遠出ができるようになり、自転車で知らない隣町へ足をのばしたとき。
あるいは、1人で電車に乗れるようになって、路線図で一番端にある町へ行ってみたとき。
「知らない」もので溢れたところにある、特有のわくわく感がOuter Wildsには存在します。
Outer Wildsと過ごした2ヵ月
今年の3月から5月にかけて、私は多くの時間をOuter Wildsと過ごしました。
少しずつ明らかになっていく世界にくぎ付けで、寝ても覚めても脳内一色。
「刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる」と名高いゲームですが、見事その通りになったひとりです。
ルートが決まっていないがゆえ、道中はさながら旅。
未知の場所に足を踏み入れ、どうやったら進めるか自分の頭で考え、試して…。
もちろん、失敗することも沢山ありました。
操作が上手くいかずに死んでしまったり、推理が外れて何度もループするはめになったり。
ある惑星は大変ストレスフルな生物がいるのですが、そこを進めるようになるまで何時間かかったかわかりません。
それでも、コントローラーを投げ出す日は来ませんでした。
「知りたい」という思いに突き動かされ、何度も何度もループを繰り返し。
終盤からエンディングにかけて一気に進んだとき、生まれて初めて「気付いたら朝になっていた」を経験したのは良き思い出です。
自分1人とゲーム1つ。
この2か月は私にとって、今でも大切な時間です。
反動
そうしてクリア後は、「全てを知った」満足感と同時に、「何も知らない状態を失った」喪失感があったのをよく覚えています。
この喪失感が相当なもので、数日間はなんとも言えない感情で過ごしました。
きっと、それだけ自分の中で大切な存在になっていたのだと思います。
実際、このブログでOuter Wildsの記事を書くのは6度目です。
いくつもの点と点が繋がって、線となり面となったときのあの感覚を味わえるのは、たった1回きり。
知ったときの喜びは、知らなかったからこそ享受できるもの。
Outer Wildsでの体験は、それを痛いほど実感させる、唯一無二で劇的なものでした。
おわりに
「#わたしを作ったゲーム5作品」。
いつだったか、こんなタグがTwitterでトレンド入りしていました。
今回の特別お題「私がハマったゲームたち」の応募記事を見ても、人それぞれに思い出のゲームがあるとわかります。
そういった「思い出のゲーム」というのは、子供のときに体験するものとばかり思っていたものです。
それがなかった自分は、少々寂しさを感じることもありました。
夢中になって遊んだゲームがない、と。
しかし、大人になって出会った『Outer Wilds』がそれを叶えてくれました。
22分という縛られた時間のゲームがもたらしたのは、時間を忘れて熱中することの楽しさ。
そして、好奇心に対して素直になったときの面白さ。
Outer Wildsを起点として、色んな世界を知っていきたいです!
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