M800と青縞への思いをつのらせた結果、やはり購入してしまいました。
目次
スーベレーン M800 青縞
M600緑縞に続いて、2本目のスーベレーン!
青縞もとってもカッコいいです。
字幅はM。
インクは、新たに購入したエーデルシュタインのサファイアを入れました。
ストライプ部分の仕様変更後に購入したもので、以前透明だった部分はブラックになっています。
魅力
M600を購入してからというもの、すっかりスーベレーンに魅せられていました。
1点目は書き心地。
表現が正しいかわかりませんが、何だかむっちりしてるんですよね笑
弾力に富んでいる、というのが正確でしょうか。
「ペリカンの柔らかさ」ってこんな感じなんだ、とメーカーの個性を感じられて楽しいです。
2点目は洗浄のしやすさ。
スーベレーンはニブユニットを首軸から簡単に外すことができます。
ニブを反時計回りに回すだけでOKです。
これにより、
- 浸け置きによる胴軸の膨張を防ぐ
- 胴軸内部を乾燥させる
- (+インクをタンクに直接入れる)
ことが簡単にできます。
水の吸入と排出を繰り返して胴軸内部を洗浄したら、ニブユニットは水に沈めて、胴軸は机で自然乾燥。
吸入式万年筆でも胴軸内部を簡単に乾燥させられるのが、個人的に大変ありがたいです!
TWSBIとかもそうですよね。
補足:胴軸の膨張
「浸け置きによる胴軸の膨張」とは、
水に浸け置き→胴軸膨張→キャップが締まらない、胴軸が割れる
といったスーベレーン特有の症状のことです。
スーベレーンのストライプ部分に使われている素材は、水を含むと膨張する性質があります。
スーベレーン・シリーズの胴軸(ストライプ部分)に使用されている素材のセルロース・アセテートは、水分を多量に含むと膨張する性質がありますので、ストライプ部分を水に浸け置きしないようご注意下さい。
そのため「スーベレーンの浸け置きは首軸(黒い部分)まで」とされています。
魅力3点目はデザイン。
これは好みによるところが大きいですが、私はスーベレーン(特に00番台ストライプ)のデザインが大好きです。
大前提としてベスト型、ロゴの入った天冠、装飾あり且つすっきりとしたクリップ、異なる太さの二重キャップリング。
そして、スーベレーンの代名詞と言えようストライプ柄!
細いストライプの効果に「スタイリッシュな印象を与える」というものがあるそうですが、軸の黒いラインがまさにこの効果を生んでいる気がします。
柄は胴軸のみでキャップは無地、というのもちょっと控え目で上品な感じ。
00番台のニブはバイカラーなのも好きです。
懸念
そんなスーベレーンですが、使っていて心配な点が胴軸の膨張以外にもいくつかあります。
「スーベレーン 欠点」とサジェストに出るくらいで、自分自身も購入前から少々不安を抱いていました。
主に挙げられるのは
- 軸が折れる
- 首軸のリングが腐食する
- (既出)胴軸が膨張する
などです。
1点目は「軸が折れる」。
軸が首軸と胴軸の間でぽっきり折れてしまうことです。
検索をかけると珍しいことではないみたいで、折れるに至らずともインク漏れなどが発生しがちな部分のもよう。
どんな方法でくっつけているのか?と思い調べてみると、「超音波溶着」という方法で接合していることがわかりました。
以下はオランダの文房具専門店「Appleboom Pennen」による、ペリカン社への工場取材動画です。
「超音波溶着」についてはこちらを読みました。
▼2024-04-05追記
上記ページが見られなくなっていたので代替ページを貼ります。
超音波溶着は溶剤を用いない「熱」による溶着とのことなので、折れる理由が「インクと接着剤の化学変化」である線は薄そうです。
他の可能性では「キャップの締めすぎによる負荷」という意見を見かけましたので、少々ゆるめに締めることを心がけています。
2点目は「首軸のリングが腐食する」。
リングを酸性の強いインクに浸すことが、メッキ剥がれや腐食の原因となってしまうそうです。
私はどの万年筆もシリンジを使ってインクを入れる(スーベレーンもニブユニットを外して入れる)ため不便は感じないのですが、正直この仕様には驚きました。
こちらのブログでも紹介されているように、ペリカンのブルーブラックやロイヤルブルーは強い酸性。
性質上仕方ないとはいえ、「純正インクを使っていたのに…」となるのは想像に難くありません。
インク吸入自体はニブ部分まで浸せば出来るものの、ちょっと不親切かもと思ってしまいます。
実用性の面でみれば、首軸のリングがないクラシックに軍配が上がるかもしれません。
また不思議に思うのが、トレドはM700とM900でリングの有無が異なることです。
デザインの差異を出すためなのか、部品コストの面でM700には付けなかったのか、モデルの歴史的な経緯があるのか、はたまた全く別の理由なのか、、、
まだまだ勉強が必要そうですね。
3点目の「胴軸が膨張する」は前項で言及済なので省略します。
購入経緯
今年の3月にM600の緑縞Fを購入しました。
当時はM400とM600で迷った末、
- 値段を理由に諦めると後悔しそう
- 使い慣れたプロギアと大きさが似ている
という理由でM600を選びました。
結果は大正解で、M600の購入には1ミリも後悔がありません!
そうして使い続けているうち、ふつふつと湧き上がってきたのがM800への興味です。
購入を決めたのは、あるお店にM800の青縞Mが入荷したとき。
iPhoneやiPadが買えてしまう価格に恐れおののきながらも、数十年後にこの価格を見て「あのときはこんなに安かったのにね…」と思う日が来ると想像して購入しました。
9月上旬に購入して、案の定12月からの値上げが発表。本当に各社値上げラッシュですね。
速報/ペリカン筆記具の値上げ
— 趣味の文具箱 2022年10月号 vol.63 9月6日発売! (@shumibun) 2022年9月27日
ペリカンの日本の総代理店、ペリカン日本から筆記具の値上げのお知らせが届きました。原材料、金、輸送コストの上昇が主な理由です。
M1000 7万8千→8万5千
M800 6万→6万8千
M400 4万→4万5千
(すべて税なし価格)など6~20%の値上げ。実施=12月1日(木)から。 pic.twitter.com/fciH39yx7z
▼その他商品、税込価格はこちらに掲載がありました
重さ
M600→M800ときたらM1000にも行きたくなるのでは?と一瞬思いましたが、杞憂に終わりました。
M800の時点で重量が想像よりも重く、気を抜くと手から転げ落ちてしまいそうになったためです。
重さの数値はこちらから引用させていただきまして、M600が16.4g、M800が28g。
一部パーツが樹脂→金属になることで、重さアップ+後ろ重心です。
この11.6gの差と重心バランスの変化が中々に大きく、M800で初めて文字を書いたときは、手から逃げそうになる尻軸を制御するので一杯いっぱいでした。
M600とM800の違いが色々ある中で、何よりも大きいのがこの重量の違いだと感じます。
といっても、私が非力なだけなのですけどね。
M800の重量バランスが多くの人から支持を得ているものであることは、随所で目にします。
なんとか力をつけたら、このバランスの良さをわかる日が来るかもしれません!
長さ
重さに続いて長さも比較してみます。
M600と比較すると以下のような感じです。
続いて、似た長さのペンを並べてみました。
M600はセーラーのプロフェッショナルギア、M800はプラチナの#3776センチュリーと同じくらいの長さでした。
おわりに
以上、長くなりましたがM800の購入記録でした!
実はこのM800、毎度書き始めにインクが出ずストレスがものすごかったので、長原さんのペンクリニックで調整をお願いしました。
舶来品は海外の方の書き方に合わせた状態で調整・出荷されているため、日本人が使ってみるとインクが出にくい、という事例はよくあるとのこと。
調整後は、同じペンとは思えぬほど快適になりました。
軸の美しさと書き心地の良さを併せ持ったスーベレーンたち。
この先の人生、行けるところまで一緒に行きたいです!
▼次に購入したペン