パイロットの万年筆で最も好きな軸デザインかもしれません。
パイロット グランセ パールホワイト
3年前から惹かれていた軸をようやく購入しました。字幅は中字です。
特段入手が難しいわけではないのですが、いつでも買えるからいつまでも買わないものってありますよね。
他メーカーだと価格改定前に購入することが多いなか、パイロットは価格改定が無く焦りも生じなかったことは一因だと思います。
最後の値上げが2019年1月、それもカスタム74のみというのが驚きです。
ニブの一部を切り抜くなどしてコストカットを図っているようですが、それにしてもこれほど価格維持が出来るとは、、、
ありがたさを通り越してなんだか心配になってきます。この値段で購入させていただいて大丈夫ですか?
配色
白黒金。
調和のとれた3色が醸す上品さたるや!
購入の大きな決め手になったこの配色、なんというかバランスが良いです。「グランセのベストな配色です」と軸が主張しているような自信さえ感じます。
なぜそんなに美しく感じるのかが知りたかったので調べていると、東洋インキのこちらのページに辿りつきました。
ここにこのような記載がありました。
配色のテクニックは、類似と対比の大きく2種類で分けられる。
共通性のある色の組み合わせと、対照的な色の組み合わせはどの理論でも取り上げられています。大くくりとして、配色調和のテクニックとしたらいいのではないでしょうか。
パールホワイトの白と黒はまさにです。
- 類似:無彩色が共通
- 対比:明度が対極
類似と対比のいずれも満たしているのですから、調和を感じて当然とも言えそうです。
そしてそこにトリムのゴールド。
以前から白黒軸のトリムはゴールドが好きでしたが、これも説明がつきそうでした。
以下抜粋です。
これは配色におけるセオリーと言えるもので、
- 60%のメイン
- 30%の相対色
- 10%のアクセントカラー
の組み合わせを意識すると、まとまりとメリハリのある、いわゆる「色使い良いね!」的なものになるよってやつです。決して3色である必要はなく、例えばメインを同系色2色でまとめて60%としても構いません。
パールホワイトの軸色もちょうど、
- 60%:白(キャップ、胴軸)
- 30%:黒(蓋栓、首軸、尾栓)
- 10%:金(トリム)
くらいの割合になっています。金はもう少し多いでしょうか。
これを用いると、白黒軸のシルバートリムを物足りなく感じる理由もわかりました。シルバーは主に灰色をベースとしており、アクセントカラーとして使うには白黒との対比が弱いためです。すなわちメリハリに欠ける。
ただ、それは同時に類似性や統一感が上がることを意味します。それを魅力と感じることもあるので、結局は軸ごとの好みによるところが大きいのかもしれません。
中字とウェーバリーの比較
今回中字を購入したので、中字相当とされるパイロットの独自字幅ウェーバリーと並べて書いてみました。
ゆっくり書いたときの太さはほとんど同じでした。違いが顕著なのは走り書きをしたときで、中字は太さを保った丸みのある線、ウェーバリーはやや細くシャープな線になりました。
書いたときの感触は大きく違います。
例えると、中字は先がまん丸なマドラー、ウェーバリーは先がスプーン状のマドラーで紙の上を滑らせている感覚です。中字は「球」でウェーバリーは「面」。ニブ形状の違いがそのまま表れています。
▼ウェーバリーについてはこちら
おわりに
パールホワイトの購入を初めて検討したのは、自分で購入した1本目の万年筆であるプロギア銀を使い始めて少し経った頃です。
そこから3年、頭の片隅に置き続けた軸が手元にあると思うと感慨深いです。
万年筆に限らず物を買う時は検討に時間をかける方ですが、ここまで長期間購入を保留していたものは恐らく初めて。
これまでの時間を埋めるように沢山使っていきたいです!